神奈川県立新城高等学校同窓会 城友会

 「やなせ先生の本を創る人になる」という夢を40年かけて実現 

【プロフィール 】

平松利津子(ひらまつ・りつこ) 1959年、岩手県陸前高田市生まれ。川崎市立南大師中学校出身。
白百合女子大学文学部国文学科卒業。 
編集者、ライター、絵本作家、出版プロデューサー、「いちごえほんプロジェクト」代表。 

1977年に新城高等学校を卒業後、私は白百合女子大学文学部国文学科に進学しました。そして、十代からの夢だった「やなせたかしさんの本を創る人になる」という夢を実現するために(株)サンリオに入社。出版部で月刊「いちご新聞」の編集や読者向けイベント運営に携わりますが、1986年に結婚、出産を機に退社しました。男女雇用機会均等法が施行されたものの、女性は出産時には退職するのが当たり前の時代でした。私は編集の仕事に後ろ髪を引かれながら、「仕事時計」を止め、専業主婦になりました。この時、やなせ先生の本を創るという夢は散ってしまったわけです。 

その後、二人の息子の子育てを卒業した私は、やり残していた夢の実現のために2008年(株)朝日学生新聞社に入社。48歳の時のチャレンジでした。そして、編集部で「朝日小学生新聞」「朝日中高生新聞」各紙編集に16年間携わり、一途にオリジナル作品を創り続けました。新城高校の校訓「清楚質実」が、私の中に宿っていた証拠かもしれません。 

朝日学生新聞社では、NHKアニメ「忍たま乱太郎」の原作である「落第忍者乱太郎」のまんが編集を務めたり、「今田美奈子のお菓子物語」(今田美奈子)、「大勢の中のあなたへ」(ひきたよしあき)など、数多くの企画立案から紙面編集、書籍化に携わったりしました。 

入社2年目のこと、「やなせたかしのメルヘン絵本」の企画が通り、翌2010年4月からやなせさんが亡くなる2013年12月まで、私は151話のやなせ作品を編むことができました。夢の実現までにはなんと40年の時間が流れていました。 

一方、2021年には、サッカーの神様と呼ばれるジーコの精神をモチーフにした絵本『ちいさなジーコ せかいでいちばんたいせつなもの』(金の星社)を出版。絵本作家としてデビューしました。 

2025年4月、NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」の放送にあたり、私はNHK「アナザーストーリーズ」で、やなせさんの「最晩年の担当編集者」として取り上げられました。夢は諦めた段階で終わります。諦めずに行動していれば、いつか夢は叶います。遠回

りしたように見える人生ですが、過ごした時間や経験に無駄は一つもなく、すべてが必要なことだったのです。人生悲喜こもごも、宝石のような出会いや経験が今の私をつくっています。 

一度きりの人生です。自分らしく「オバサンになっても大志を抱け !」の気持ちで、次の夢を追い続けています。 

平松利津子(旧姓・菅野/12期) 

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